2008年01月01日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。皆様は平成20年をどのような年にしたいですか。

著作権教育フォーラムにとっては、平成19年は「実践!著作権」ワークショップの締めくくりの年でした。平成17年に、中高生を対象として始め、2回目は中高生と教員を対象に、そして3回目にあたる平成19年は中高生とともに一般市民にまでひろげて、権利処理をもっと身近にとらえてもらい、著作権意識について考えてきました。
そして、平成18年のワークショップの内容を中心として、私たちの活動を「創って学ぼう著作権」という書籍にもまとめました。
直接対峙して講義をしたり、疑問にお応えできたのはごく一部の人たちに対してだけですが、私たちはそこから「著作権教育」に必要なこと、求むべき姿についての多くを学びました。
平成20年は、これまでのフィールドワークで得た多くの経験、ご意見を分析、研究して、もっと簡便に著作権について学べる教材や方法について考えていきたいと思っております。

先日あるところから「著作権教育の継続的な取り組みを取材したいが、そのような学校をご紹介いただけないか」と問い合わせを受けました。いくつかの学校や教育委員会に照会してみたのですが、「単発で、教科や道徳、総合的な学習で取り上げているが、継続的にカリキュラム化するのは難しいし、教科時数削減のため教科書を進める時間確保が優先」との回答でした。
さらに、ネット利用についての指導という眼前の大問題もあり、学校現場の先生方は本当に様々な問題を乗り越えて教育に当たっているのだと改めて思い知らせれました。

これまでは、著作権教育は、学校の先生が生徒に教えることを前提としていたと思います。そしてその前提に立って、教師をサポートするシステム、たとえばヘルプデスクを教育委員会に設置するなどの提案をしてきました。
しかし、この3年で少し学校を取り巻く環境も、著作権教育も変わってきたのではないかと感じています。
何もかもを学校のせいにし、何もかもを学校の教員が教えるということは不可能です。それは著作権の知識を始めとして、社会が要求することが普遍的な事象・知識からだんだん専門的になっているからでしょう。すべての教員にあらゆる専門性を備えさせるのはなかなか難しいことでしょう。それならばいっそ、専門家が教員と提携すればよいと思っています。ちょうど英語の授業にネイティブスピーカーがティーチングアシスタントとして一緒に授業をするように。

平成20年はもっと簡単に先生方と提携できるような活動をしていきたいと思っています。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2007年12月11日

CRIC「第2回著作権教育実践事例募集」の受賞実践事例が公表されました。

平成17年4月1日から平成18年10月31日にかけて、社団法人著作権情報センター(CRIC)が全国の小・中・高等学校を対象に募集した「第2回著作権教育実践事例募集」事業の受賞実践事例が、CRICのホームページにおいて公表されました。
最優秀賞1校、優秀賞2校、佳作5校の著作権教育実践事例の詳細が掲載されています。
掲載されている教育実践事例資料は、教育関係者が著作権教育を目的として、非営利で利用する場合に限りは、自由に利用できるようですので、こういった実践事例を参考に、著作権教育に関心をもち、挑戦していただければと思います。
あわせて、私も参加しました、体験型著作権学習イベント「実践!著作権」の様子を記録しました「創って学ぼう著作権」につきましても、全国の中高等学校や主要公立図書館などに配布されております。こちらでも学校で実践できる簡単な事例をいくつか紹介しております。また、巻末には「オマケの著作権」と題して、著作権法の解説も載せております。あわせて、ご参考にいただければと思います。
posted by 著作権教育フォーラム at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 出版物紹介

2007年07月25日

「創って学ぼう著作権〜先生と生徒の体験学習・兵庫の記録」刊行されます!

私が権利処理の講師と権利処理機構に参加しております、体験型著作権学習イベント「実践!著作権」の様子が、このたび書籍にまとまることになりました。
 「創って学ぼう著作権」と題して、平成18年度イベント参加の先生と生徒たちの様子をご紹介するとともに、この体験型著作権学習イベントを開催しようとしたきっかけ、学校での著作権教育についてのちょっとした提言などを致しております。
 平成18年度はまさに「先生と生徒の共同学習」でした。参加教員は放送部顧問など著作権について知識も権利処理の経験もある先生方もいらっしゃいましたが、学校での利用を超えての権利処理の体験は初めてです。生徒は権利処理はおろか「著作権」だって、浴分からない状態でした。それでもみんな無我夢中で映像作品を制作し、レコード会社に電話し、申請書を作成しました。そして、「許諾を求める利用者」から「自分たちの作品の権利者(著作者)」となることを体験したのです。そんな5日間の活動について、先生と生徒がどんなことを感じたのか、それぞれの言葉でかたってもらっています。
 この「実践!著作権」は平成17年、18年と続けて兵庫県教育委員会他のご協力を得て開催しています。平成17年に初めてこのイベントを企画したとき、一体どうすればいいのか、権利処理を通じた著作権教育のために何が必要なのか、ということから検討しました。著作物は何でも使えるようにするのか(そうすると権利処理の負担が大きい)、音楽だけにするのか(権利管理と処理の実績があるので、比較的楽)、学習というと割りとすぐに許諾されるが、そのような「例外」を「あたりまえ」と思うところに、著作権に対する意識が薄くなるのではないか、等等最初のスキームを作るまで苦労しました。
しかし、どうなることかと思った平成17年度も、参加した生徒たちの熱意がワークショップを盛り上げ、様々な成果を生みました。平成17年度の作品紹介と生徒の感想も掲載していますが、生徒が権利処理を通じて感じたことは共通しています。
この書籍を通して、このイベントが単なる著作権の学習イベントを越えて、様々なことの学習に繋がっていることを感じていただけると思います。
学校関係者のみならず、多くの方に読んでいただければと思っております。詳細は決まりましたら、改めてご連絡いたします。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 21:41| Comment(1) | TrackBack(0) | お知らせ

2007年06月06日

入試問題相互利用

 先日、入試の過去問題集の一元的管理を行ってはどうだろうかということを書いてみましたらば、このような記事が目に留まりました。「過去の入試問題、66大学が相互活用…来春の入試から」(5月16日 読売新聞)。
読売オンラインの記事によれば、構想は05年から、最初に記事になったのは07年1月10日だったようですね
記事の内容は、岐阜大学が中心となって、過去に出題した入試問題を互いに利用できるようにすることになったというもので、メンバーとなった大学では、他大学の過去問題をそのまま使用することも、一部改編して使用することも可能となるとのことです。岐阜大学学長が「そもそも、学習指導要領で出題範囲は限定されて」おり、「その中で、毎回オリジナルの良問を出そうとすると、おのずと限界が出」「その結果として、高校の学習範囲を逸脱した難問奇問が出題されたり、最悪の場合は出題ミスにつながる遠因にもなっている」ことを憂慮したことに端を発するそうです。
 また、気になる著作権ですが、試験問題としての利用なので他大学の試験問題を利用する場合でも著作権法の例外規定内での利用となり、また、「大学入試過去問題活用宣言」参加大学間においては、過去問題の二次利用については(その利用を)許諾するということになっているようです。但し、問題の中に含まれる他人の著作物については、二次利用する大学がその権利処理を行うとしています。
 商業利用ではない著作物の利用連携であるこの取り組みは大変有意義であると思います。同時に、このように学校現場(大学)から声をあげ、著作物の利用について改革をしていくという動きがさらに広まっていけばと思います。
 教育をするのに先人の智恵(=著作物)を利用しないなんてありえないのですから。
(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 00:20| Comment(0) | TrackBack(1) | コラム

2007年05月24日

例えば学校での著作物利用を社会に生かすには・・・

先回、経団連主導の著作物の二次利用の促進を図るための著作権情報データベースについて触れました。その際、学校などでの利用はどうすればよいのかということを申しましたが、今回はそのことをもう少し考えてみたいと思います。
 学校教育における著作物利用ですから、経済活動とは直接結びつきにくいでしょう。また、普通に授業している場合は、学校での著作物利用は制限規定の範疇で済みますから、直接的に学校が利用する状況はあまりないかもしれません。しかし、調べ学習の成果をHPで公開するなど公衆送信に絡む場合を含め、学校からの情報発信が進んでいる今日に於いては、情報の整備と共有は欠かせない事だと思います。
もしも学校のための情報整備が、学校と社会、もっといえば経済活動に結びつくような場合を想定しなければ、積極的には行ってもらえないのだとしたら、学校は何ができるのでしょうか。
実は学校には強力な利用法が一つあるのです。著作権法第36条で規定されていることの転用、つまり、受験問題の提供です。これを利用して、学校での著作物利用のための著作権情報データベースの構築に結びつけるというのはどうでしょう。
学校での試験ですから、学校は著作権法第36条に規定されているとおり無許諾で試験を行うことが出来ます。この試験問題の権利処理データベースを出題した学校と一緒になって整備するのです。学校での著作物利用とは直接関係することではありませんが、過去問題集や赤本等を作成している出版社にとっては大変需要が見込まれると思います。また、出版社ごとに権利者を探すということも手間も省けるでしょう。
 試験問題の二次利用を推進する団体を設立し、学校が積極的に参加すれば、情報の収集はかなり効率よいでしょうし、もっと多くの試験問題の二次利用が見込まれるのではないでしょうか。
(注:現在は、有限責任中間法人日本著作権教育研究会が著作物の使用許諾申請代行業務をおこなっており、自社のデータベースを整備されています。)
 出題者である学校は、試験問題と出典元の情報を提供するだけですから、あまり手間にはならないでしょう。二次利用を推進する団体は、学校からの情報提供を受けて、試験問題の権利処理を行います。学校からの情報の提供については無償ではなく、提供した学校へ情報提供料が支払われる、試験問題が二次利用されれば使用料が支払われる、あるいは例えばそれらを当該団体が一括して受領し、「学校での著作物利用についての経費」として予算配分するなども考えられると思います。学校に権利処理予算が付けば、「お金が掛かるから」という理由での、学校における著作物利用が躊躇されることは、多少なりとも解消されるのではないでしょうか。
 また、試験問題の二次利用をきっかけとなり、学校での著作物の利用も進み、適法な著作物利用についての意識も向上するのではないでしょうか。さらに、私どもが主張しております、学校での著作権法の制限規定を超える著作物利用についての権利処理を扱う集中機関の設立に繋がれば、学校での著作物利用はもっともっと円滑に行われ、著作権についての啓蒙も進むと思うのです。

 今回はあえて、産業界にお手伝いしてもらえるようなスキームを考えてみましたが、本当は教育のことですから、教育界が主体となって利用し易い環境の整備を行っていくべきなのでしょう。
(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2007年05月08日

学校の中の著作権講座第第2回「地図の著作権」

第2回目は「地図の著作権」です。質問は「社会科や総合の時間で地図が必要なのですが、地図にも著作権があるという話を以前に聞いたことがあります。」というものです。

1. 質問への回答 = 地図は著作物です。
2. 権利処理の方法 = 個別に行います。
3. 注意すべき点 = 著作権の存続期間が過ぎていても国土地理院発行の地図を利用する場合は、国土地理院長の承認が必要です。

<補則解説>
その1:測量法と著作権法
 地図のうち国土地理院が発行しているものは、測量法により、複製又は使用に際しては原則として、国土地理院長の承認が必要です。これは測量法(昭和二十四年六月三日法律第百八十八号)第29条、第30条の規程があるためですが、測量法の前身である陸地測量標条例等に基づいて作成された地図も含まれるため、著作権存続期間に関わらず明治23年以降に発刊された地図すべてに該当します。明治23年ですから、「古地図」といわれるもの以外はほとんど該当するのではないでしょうか。
従って、国土地理院の地図の利用に際しては、著作権の処理のみならず、国土地理院長宛に書面申請書を送付するということに注意が必要です。

その2:権利処理の方法、国土地理院への申請方法
地図の著作物には音楽や文芸のような権利者団体というのはありませんから、個別の処理になります。
既刊本(地図)からの転載については、当該書籍(地図)の出版社に問い合わせて下さい。
国土地理院発行の地図の場合は、同院への直接申請となります。
申請が必要かどうかは、同院HPのフローチャート に大変わかりやすく説明してありますので、ご参照下さい。

その3:学校での利用に際して
 「測量法第29条の規定に基づく承認取扱要領」第6条には著作権法との関係がきちんと明示されており、著作権の制限規定を尊重するとあります。さらに、国土地理院のHP「測量成果の複製・使用」という所に、「出典明記で利用できる場合」という項目もあります。質問のように、学校で利用する場合は、主に著作権の制限規定(第35条、36条など)に該当するでしょうし、学校のHPにアップロードする場合でも、「出典明記で利用できる場合」に該当するでしょう。
つまり、国土地理院発行の地図を学校で利用する場合は、著作権処理も含めて、結果として申請は不要で、出典明記だけでよいということになります。
 もちろん、利用する地図に同院以外の著作者が存在する場合は、学校のHPにアップロードする等著作権の制限規定以外の利用の際には、その著作者の著作権処理(許諾)が必要となります。
 
その4:国土地理院発行の地図を出典の明示だけで利用できる場合
 国土地理院HPの「出典明記で利用できる場合」から、学校に関係あると思われる部分を簡単に記載します。
 まず、研究発表等の学術論文に掲載する場合は大きさ、枚数等条件無く利用できます
次に冊子や報告書に掲載する場合は、まず内容補足のために少量の掲載が認められています。量については、
掲載地図が冊子等の1ページの半分以下の大きさなら、冊子総ページ数の10%以内、
大きさが半分以上1ページ以内なら、総ページ数の1%以内のページ数、
非営利目的の1枚もののパンフレット等には、その図面の大きさの約20%以内、
Webサイト等では、サイト等全体の中で、挿絵的に3枚程度利用
と具体的に記載があります。
 

普段何気なく利用する地図ですが、こんな事情が隠れています。
次回は「著作権フリー」についてです。
(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 学校コンピュータ

2007年04月15日

著作物利用は商業利用だけではないと思うのだが・・・

 先日「政府の知的財産戦略本部の提言に基き、日本経団連が中心となって・・・著作権などの情報を一括検索できるポータルサイトが公開される」
という記事がありました。
経団連が中心となっているのですから、幾分商業利用に特化するような面もあるかと思っていましたが、記事では「情報は、一般ユーザでも閲覧できるが、2次利用の許諾を得るための連絡先情報は、有料会員登録をした企業ユーザに限って閲覧できる。」と続いており、大変驚きました。
 権利処理は企業ユーザしかしないと思っているのでしょうか。それとも一般ユーザでも適法に著作物を利用したければ、先ずは情報収集のために相当額の対価を支払い、さらに使用料の交渉をしろということなんでしょうか。
 知的財産戦略本部の提言では、クリエータもユーザも納得できる「(知財)大国」を目指し、「アーカイブを手軽に検索できるポータルサイト構築の取り組みも支援」とあるのですが、この場合ユーザとは商業利用をする利用者だけを指し、円滑な商業利用をするためのポータルサイト構築だけを支援するという意味だったのでしょうか。
先般、当フォーラムから提出したパブリックコメントに著作物利用について商業利用にのみ利便性が図られているという点を指摘したのですが、まさにその指摘の具体例の記事ではないかと思いました。
 もちろん、経団連の構築したポータルサイトを見た上で再度検証する必要があるでしょう。しかし、記事からは、一般ユーザは権利処理に際し今までとなんら変わらない、自分で権利者を探す努力を強いられるように思えます。まぁ多少は取り掛かりが提供されるのかもしれませんが・・・。
 もしかしたら経団連の言う一般ユーザというのは、一人ひとりの個人を想定しているのかもしれません。個人が権利処理をするような場面は少ないと仮定し、たまにする権利処理なら少しぐらい手間がかかっても良いと合理的に判断したのかもしれません。
(私は全く賛成できませんが、経済合理主義的視点からは正しいのかもしれません)
 では個々人でも、商業目的でもない利用者はどうすればいいのでしょう。非商業利用のユーザは学校をはじめそれぞれの規模は小さくともユーザ全体としては大きな位置を占めると思われます。しかし営利目的ではありませんし、そのようなユーザが潤沢な資金に恵まれているとは思えません。そうするとこの経団連のポータルサイトはこのようなユーザをも排除しているといわざるを得ないことになります。端的に言えば、商業利用以外の著作物の利用は認めないということでしょうか。
 学校や個人ユーザは一定の利用について著作権が制限されますから、無許諾で使用できるようになっています。しかし、学校でインターネットに情報アップすることは当たり前になってきましたし、学校行事をビデオで録画し、卒業アルバムDVDに使用したり、合唱コンクールのCDをクラスで作ったりという活動は盛んになっています。これらは著作権の制限規定から外れる活動ですから、完全に適法に行うには権利処理が必要になります。「そういった活動は本来学校で行う必要のある活動ではない」と切り捨てることもできるでしょう。しかしそれはあまりに現実的ではありません。それに、権利処理をしても作りたいという希望に一切添う必要がないという意見はあまりに独善的ではないでしょうか。
 商業利用を先行させるなら、非商業利用についてもっとサポートがあるべきです。別の角度からの支援でもいいでしょう。例えば、学校利用についてのルール、その他非商業利用に付いてのルールなど、各著作権団体が対応できれば、経団連のポータルサイトは商業利用のみということで十分でしょう。しかし現在このような切り分けも出来ていない状況で、商業的利用だけが支援されるというのは納得できません。
 著作権が財産権の部分だけを肥大化させ、単なる経済活動の一つになってしまった感があります。著作権法が掲げる根本精神はどうなるんでしょうか。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2007年04月09日

学校の中の著作権講座第1回「音楽発表を録音したCDの配布」

出版物サポート
 4月8日より、少年写真新聞社『学校コンピュータ』で「学校の中の著作権」講座の連載がはじまりました。月一回の配布に併せて、当HPにおいて、誌面に書ききれなかったことを、補足して解説して参ります。
 この連載は、実際に学校現場で起こりそうな事例を質問形式で取り上げ、1.質問への回答、2.権利処理の方法、3.注意すべき点の3つの視点から著作物利用について考えてもらおうというものです。当HPは補則解説ですので、特に注意すべき点について細かな説明をしていきます。

 第1回は「音楽発表を録音したCDの配布」です。
質問は「校内の合唱コンクールの発表を録音して、記念のCDをクラスの全員に配布したいのですが無許諾できますか?」です。
1. 質問への回答 = 許諾が必要です。
2. 権利処理の方法 = 当該楽曲の管理団体へ申請
3. 注意すべき点 = 合唱の様子を撮影したDVDは「ビデオグラムの製作」になる。
           外国曲の場合は直接権利者と交渉の場合もある。

<補則解説>
その1:著作権の存続期間について
 この設問のような利用法では「許諾が必要」ですが、楽曲の著作権が消滅している場合は、許諾の必要はありません。
  著作権は著作者の死後50年で消滅します。しかし音楽の著作物のように、作詞者と作曲者が別の場合、楽曲の著作権はそれぞれの死後50年でそれぞれの著作権が消滅するということになります。例えば、北原白秋作詞、山田耕筰作曲「からたちの花」であれば、北原白秋の死後50年が経過しており、詞の著作権は消滅しています。しかし、山田耕筰の著作権はまだ存続していますから、曲の著作権が存続している事になります。
  さらに、曲の場合は編曲者という人もいます。編曲者の著作権が認められている場合は、編曲の著作権についても注意しなくてはなりません。クラシックのように原曲の著作権が消滅していても、編曲者等の権利が存続中の場合もあります。

その2:専属楽曲〜作詞・作曲・編曲以外でも許諾が必要なもの
楽曲には、専属楽曲といって作詞者・作曲者がレコード会社に専属するという契約を締結している楽曲があります。専属楽曲の場合は、その著作者が創作した楽曲の録音使用については、当該レコード会社に独占的な利用が認められています。そのため、これらの楽曲を利用する場合にはJASRACへの申請の前に、当該レコード会社の許諾(専属開放といいます)を得る必要があります。なお、この場合は別途専属解放料が掛かる場合もあります。
例えば合唱曲の「大地讃頌」は非常によく歌われる曲だと思いますが(私も中学生の頃歌った記憶があります)、この曲はビクターエンタテインメント株式会社の専属楽曲のため、JASRACだけでは許諾することができません。JASRACの楽曲データベースJ-WIDに「専属」というマークがありましたら、まずは専属会社に連絡をしてください。

その3:使用料計算
 ここではJASRACを例にご紹介します。
 1〜49枚複製する場合=400円×楽曲数+消費税
50枚以上複製する場合=8円10銭×複製枚数×楽曲数+消費税
となります。但し1曲とは5分未満を指し、5分以上の曲の場合は、5分ごと1曲と計算します。例えば17分の曲は4曲に相当します。
なお JASRACホームページ「CD・テープ・ICなど録音物の製作」に、申請方法や記載方法など記載や、使用料の概算も計算できます。申請書もダウンロードできますので、参考にして下さい。
 また、記事にも記載しておりますが、学校、個人等の非営利団体が、定価なしで制作する場合は、「非商用」として、使用料の減額措置として、録音物については通常の使用料の半額になる事があります。自分たちの使用がこの「非商用」に当たるかどうかは、JASRACに確認する必要がありますが、この様な減額措置もありますので、一度試してみては如何でしょうか。

その4:JASRACの重要な変更
 今年4月より、JASRACでは許諾証紙が廃止されました
 これまでは、許諾された複製物には、許諾番号、許諾証紙(JASRACシールといわれるもの)の貼付が条件でしたが、4月1日以降に申請許諾分から、この証紙が廃止となります。但し、楽譜のコピーについてはこれまで通り証紙が必要ですので、必ず貼付してください。

 これから紙面と連動して半年間、月1回の補足を行って参ります。

(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 学校コンピュータ

2007年03月29日

「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に対する意見

知的財産戦略本部が行った「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に対して次のような意見を行いました。

続きを読む
posted by 著作権教育フォーラム at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 提言

2007年02月28日

著作権を法律として教えることの難しさ

 ある学校で次のような設問が宿題でだされたそうです。
 「インターネット上のある個人運営のサイトには、いく人もの有名な作曲家や演奏家の曲が多数置かれていて、無料でダウンロードできるようになっていた。この中から自分の好きな曲をダウンロードして、携帯プレーヤーに録音し、学校の行き帰りなどで聞いている。この行為は法律上許されるか。」
 この設問を、私どものブログをみて解答された生徒さんが間違われたそうです。
 先生の解答はこうです。
 「許されません。前問と比べるとすぐにわかると思いますが、そのような個人サイトが著作権者にお金を払っているということはなく、そのサイトの運営者が著作権者の複製権や公衆送信権を侵害しています。そのような違法サイトからダウンロードすることは、例えて言うと、盗んだ品物を泥棒(盗みをはたらいた本人)から譲り受けるようなものですから、たとえ私的使用目的であっても許されません。」
 まずこの設問では、個人運営のサイト無料で運営している=違法と評価させていますが、このことは必然ではありません。レコード原盤権との関係でいえば、事実違法サイトが多いことは否定できませんが、個人サイトで無料の者が直ちに違法性とであるという事実認定判断をさせることには疑問が残ります。もちろん、学校の課題は授業での解説とも関連するので、違法サイトが多い現状の説明などがあったような場合には、前提とする余地もあるかもしれませんが、決して当然の前提ではないことに注意が必要です。

 次に、設問の「法律上許されるか?」という点です。
 この回答としては、「(仮に違法サイトからであっても)私的使用複製かつ個人視聴」であれば、適法というのが現状でしょう。だからこそ、法律を改正しようという動きがあって、違法なサイトからの複製は違法と規定しようという動きがあるのです。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/06122108/003.htm の議論は「現在の制度が適法である」ことを前提とした制度改正の議論でしょう。
 もちろん法律的な解釈では争いがあるところなので、どっちが正しいということはできませんが、アップロード側の行為は、無断で行えば「引用」などのごくごく限られた場合にのみ適法であって原則違法であるといえそうですが、ダウンロード側の行為についてはテストの解答として「違法」と評価するのは難しいでしょう。
もちろん法律上許されるから何をやってもいいか、というとそうではなく、「違法サイトからダウンロードが好ましいか」と言えば好ましくはないように思います。しかし、「法律上」という問いである以上、「適法」と解するのが一般的な見解だと思います。少なくとも違法と解することには違和感を感じます。
 情報「モラル」として「好ましくない」というのは別論、「法律論」として「違法」という点には立ち入るべきではないように考えます。

 この生徒さんは、きっと混乱してしまったことでしょう。設問自体の不適切さは否定できません。インターネット上の情報に対する信憑性判断が重要であることは正にそうでしょうが、先生のおっしゃることが直ちに正しいということもありませんし、本設問では法律上違法と断言することはできません。よくないことだろうけど、本当に「法律上いけないこと」なのか?著作権を法律として教えることは非常に難しいことです。違法でなくても「モラルとして問題」といえる、ここに情報モラル教育の意義があるように思います。

(T)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

※なお、本稿執筆者の私見では、「法律上」とする本設問の解答は「適法」であり、またそれは通説であると理解しています。
参考:http://ume-law.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_870b.html

※設問、解答は、ttp://homepage3.nifty.com/ri8a-iskw/johoB/k12a.htm より引用。
リンク機能は開設者の希望により無効化しています。
posted by 著作権教育フォーラム at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム