2007年05月08日

学校の中の著作権講座第第2回「地図の著作権」

第2回目は「地図の著作権」です。質問は「社会科や総合の時間で地図が必要なのですが、地図にも著作権があるという話を以前に聞いたことがあります。」というものです。

1. 質問への回答 = 地図は著作物です。
2. 権利処理の方法 = 個別に行います。
3. 注意すべき点 = 著作権の存続期間が過ぎていても国土地理院発行の地図を利用する場合は、国土地理院長の承認が必要です。

<補則解説>
その1:測量法と著作権法
 地図のうち国土地理院が発行しているものは、測量法により、複製又は使用に際しては原則として、国土地理院長の承認が必要です。これは測量法(昭和二十四年六月三日法律第百八十八号)第29条、第30条の規程があるためですが、測量法の前身である陸地測量標条例等に基づいて作成された地図も含まれるため、著作権存続期間に関わらず明治23年以降に発刊された地図すべてに該当します。明治23年ですから、「古地図」といわれるもの以外はほとんど該当するのではないでしょうか。
従って、国土地理院の地図の利用に際しては、著作権の処理のみならず、国土地理院長宛に書面申請書を送付するということに注意が必要です。

その2:権利処理の方法、国土地理院への申請方法
地図の著作物には音楽や文芸のような権利者団体というのはありませんから、個別の処理になります。
既刊本(地図)からの転載については、当該書籍(地図)の出版社に問い合わせて下さい。
国土地理院発行の地図の場合は、同院への直接申請となります。
申請が必要かどうかは、同院HPのフローチャート に大変わかりやすく説明してありますので、ご参照下さい。

その3:学校での利用に際して
 「測量法第29条の規定に基づく承認取扱要領」第6条には著作権法との関係がきちんと明示されており、著作権の制限規定を尊重するとあります。さらに、国土地理院のHP「測量成果の複製・使用」という所に、「出典明記で利用できる場合」という項目もあります。質問のように、学校で利用する場合は、主に著作権の制限規定(第35条、36条など)に該当するでしょうし、学校のHPにアップロードする場合でも、「出典明記で利用できる場合」に該当するでしょう。
つまり、国土地理院発行の地図を学校で利用する場合は、著作権処理も含めて、結果として申請は不要で、出典明記だけでよいということになります。
 もちろん、利用する地図に同院以外の著作者が存在する場合は、学校のHPにアップロードする等著作権の制限規定以外の利用の際には、その著作者の著作権処理(許諾)が必要となります。
 
その4:国土地理院発行の地図を出典の明示だけで利用できる場合
 国土地理院HPの「出典明記で利用できる場合」から、学校に関係あると思われる部分を簡単に記載します。
 まず、研究発表等の学術論文に掲載する場合は大きさ、枚数等条件無く利用できます
次に冊子や報告書に掲載する場合は、まず内容補足のために少量の掲載が認められています。量については、
掲載地図が冊子等の1ページの半分以下の大きさなら、冊子総ページ数の10%以内、
大きさが半分以上1ページ以内なら、総ページ数の1%以内のページ数、
非営利目的の1枚もののパンフレット等には、その図面の大きさの約20%以内、
Webサイト等では、サイト等全体の中で、挿絵的に3枚程度利用
と具体的に記載があります。
 

普段何気なく利用する地図ですが、こんな事情が隠れています。
次回は「著作権フリー」についてです。
(E)
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2007年04月09日

学校の中の著作権講座第1回「音楽発表を録音したCDの配布」

出版物サポート
 4月8日より、少年写真新聞社『学校コンピュータ』で「学校の中の著作権」講座の連載がはじまりました。月一回の配布に併せて、当HPにおいて、誌面に書ききれなかったことを、補足して解説して参ります。
 この連載は、実際に学校現場で起こりそうな事例を質問形式で取り上げ、1.質問への回答、2.権利処理の方法、3.注意すべき点の3つの視点から著作物利用について考えてもらおうというものです。当HPは補則解説ですので、特に注意すべき点について細かな説明をしていきます。

 第1回は「音楽発表を録音したCDの配布」です。
質問は「校内の合唱コンクールの発表を録音して、記念のCDをクラスの全員に配布したいのですが無許諾できますか?」です。
1. 質問への回答 = 許諾が必要です。
2. 権利処理の方法 = 当該楽曲の管理団体へ申請
3. 注意すべき点 = 合唱の様子を撮影したDVDは「ビデオグラムの製作」になる。
           外国曲の場合は直接権利者と交渉の場合もある。

<補則解説>
その1:著作権の存続期間について
 この設問のような利用法では「許諾が必要」ですが、楽曲の著作権が消滅している場合は、許諾の必要はありません。
  著作権は著作者の死後50年で消滅します。しかし音楽の著作物のように、作詞者と作曲者が別の場合、楽曲の著作権はそれぞれの死後50年でそれぞれの著作権が消滅するということになります。例えば、北原白秋作詞、山田耕筰作曲「からたちの花」であれば、北原白秋の死後50年が経過しており、詞の著作権は消滅しています。しかし、山田耕筰の著作権はまだ存続していますから、曲の著作権が存続している事になります。
  さらに、曲の場合は編曲者という人もいます。編曲者の著作権が認められている場合は、編曲の著作権についても注意しなくてはなりません。クラシックのように原曲の著作権が消滅していても、編曲者等の権利が存続中の場合もあります。

その2:専属楽曲〜作詞・作曲・編曲以外でも許諾が必要なもの
楽曲には、専属楽曲といって作詞者・作曲者がレコード会社に専属するという契約を締結している楽曲があります。専属楽曲の場合は、その著作者が創作した楽曲の録音使用については、当該レコード会社に独占的な利用が認められています。そのため、これらの楽曲を利用する場合にはJASRACへの申請の前に、当該レコード会社の許諾(専属開放といいます)を得る必要があります。なお、この場合は別途専属解放料が掛かる場合もあります。
例えば合唱曲の「大地讃頌」は非常によく歌われる曲だと思いますが(私も中学生の頃歌った記憶があります)、この曲はビクターエンタテインメント株式会社の専属楽曲のため、JASRACだけでは許諾することができません。JASRACの楽曲データベースJ-WIDに「専属」というマークがありましたら、まずは専属会社に連絡をしてください。

その3:使用料計算
 ここではJASRACを例にご紹介します。
 1〜49枚複製する場合=400円×楽曲数+消費税
50枚以上複製する場合=8円10銭×複製枚数×楽曲数+消費税
となります。但し1曲とは5分未満を指し、5分以上の曲の場合は、5分ごと1曲と計算します。例えば17分の曲は4曲に相当します。
なお JASRACホームページ「CD・テープ・ICなど録音物の製作」に、申請方法や記載方法など記載や、使用料の概算も計算できます。申請書もダウンロードできますので、参考にして下さい。
 また、記事にも記載しておりますが、学校、個人等の非営利団体が、定価なしで制作する場合は、「非商用」として、使用料の減額措置として、録音物については通常の使用料の半額になる事があります。自分たちの使用がこの「非商用」に当たるかどうかは、JASRACに確認する必要がありますが、この様な減額措置もありますので、一度試してみては如何でしょうか。

その4:JASRACの重要な変更
 今年4月より、JASRACでは許諾証紙が廃止されました
 これまでは、許諾された複製物には、許諾番号、許諾証紙(JASRACシールといわれるもの)の貼付が条件でしたが、4月1日以降に申請許諾分から、この証紙が廃止となります。但し、楽譜のコピーについてはこれまで通り証紙が必要ですので、必ず貼付してください。

 これから紙面と連動して半年間、月1回の補足を行って参ります。

(E)

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