2006年07月19日

著作物の(二次的)利用 その7〜学校における著作物利用と権利処理(1)

 
 今まで、著作物の構成から著作物を借用するという行為について考えてみました。先日、教育委員会の先生方に「学校における著作物利用と権利処理」というタイトルでお話しをしてまいりました。今回はそのときの内容を加筆修正し、利用するということを中心にすえて、学校における著作物の利用と権利処理という視点からお話ししたいと思います。

 まず、権利処理とは何かということを再度確認しましょう。
 権利処理とは、著作物の利用に当たって、著作権者等の権利者から許諾を取る作業のことをいいます。通常「著作権処理」といいますが、著作権以外の、例えば肖像権ですとか所有権などの権利についても許諾を取る作業も併せて権利処理といいます(但しここでは著作権処理について申し上げます)。これは利用する前に許諾を取る必要があります。
 よく、利用した後に、あるいは映像作品だと編集が終わった後から権利処理をするとかんちがいしている方がいますが、原則は利用の前です。
 ですので、権利処理の流れは、使いたい著作物が決まったら、権利者を捜し、交渉し、許諾を得たら使用料を支払うということになります。
 権利処理をする相手は、当然、著作権者等の権利者です。著作権というのは複製権、上映年といった著作物の利用の仕方についてそれぞれ権利、これを支分権といいますが、があり、その権利の総称が著作権というと考えるとわかりやすいかと思います。
 著作権者は著作物の利用方法を細かく定めて諾否を決めることで、自分の権利がどのように扱われるかをコントロールし、権利侵害をされないようにします。そのためには、利用者と直接交渉し、契約を交わすこととなります。しかし個別に交渉・契約するというのは、著作権者等の権利者にも手間が掛かりますので、予め使用許諾内容を定めておいて、著作物管理団体に管理委託することも可能です。
 これが音楽であればJASRAC等であり、利用者は権利者と直接交渉ではなくて、管理団体に申請書を出すだけですむ、ということになるのです。
 さて、著作権は著作者の独占的排他的権利ですから、本来著作物の利用に当たっては全て著作権者等の権利者の許諾が必要となります。また、異なる利用形態の場合は改めて許諾を取り直すと言うことになります。例えば、放送番組をDVD商品にして販売するときは、放送の権利処理とDVD化の権利処理はそれぞれ行わなければなりません。
 但し、例外的に許諾を受けずに利用できる場合があります。著作権は著作権者のもつ非常に強力な権利ですから、著作権者が NOと言えば利用できません。その独占的排他的権利を一定の条件の下の使用では、権利者の意思にかかわらず例外的に利用することができます。この例外とする場合に該当するのが、学校教育等での利用なのです。この様な例外的に許諾を得ずに利用できる場合を「著作権の制限」といいます。著作者の持つ「権利」を制限するわけです。
 学校教育現場で著作物を利用する場合の多くが、著作権法第35条(学校等教育機関における複製等)、第36条(試験問題としての複製等)、第38条(営利を目的としない上演等)等に該当すると思われますので、普通に授業で使ってる場合は、権利処理は必要ないということになります。

 学校における著作物の利用というと、すぐに思い出されるのが著作権法第35条ではないでしょうか。これは、学校教育というものの重要性と公共性を鑑みて、又著作物の利用は教育には不可欠であるという実際的な側面から、教育利用についてはなるべく自由に使えるようにしようというものです。但し、今まで申し上げたとおり、著作権法に規定される例外の一つであるということを忘れないようにしなければなりません。規定された条件を満たせなければ、学校での利用といえども、権利処理が必要となるということを理解いただきたいと思います。

 私は学校においても権利処理をしなければならないといっているのではありません。現行の著作権法に則った利用をするのであれば、学校現場においても著作物の利用について正しい理解が必要であると言うことを認識すべきであると申し上げたいのです。その上で、「やっぱりおかしい」「使いづらい」等々の声を、現場の先生方からあげていくことで、あるいは法改正等の具体的な改善アクションに繋がると思うのです。声を上げるためにはまずは理解すること、定められたとおりに利用してみることが重要ではないでしょうか。

 次回は、学校における著作物利用のうち、「権利処理が必要のない場合」を具体例を交えて説明したいと思います。

(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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