2006年07月13日

著作物の(二次的)利用〜その6.実際に利用する場合の注意点

 これまで数回にわたって、いくつかの著作物の構成について説明しました。なぜ権利処理をしなければならないのかということは、この著作物の構成を知らないと難しいものです。放送番組や、番組映像の抜き出しがなぜ放送局の許諾だけではできないのか、小説の利用を出版社では許諾できないのはなぜか。権利処理をしているとだんだん著作物というものがどういうものなのか、著作権とは何なのかということが見えてきます。「著作物を創作した者を著作者といい、著作者は独占的排他的権利である著作権を持つ」ということが実感として理解できます。どんなに言葉を尽くしてもどんなにお金を積んでも利用できない著作物がある、という事実から著作権というものが、利用の諾否であるということがわかるのです。また権利処理というのは権利者を捜すところから始まる地味な作業なのですが、この二つの実務経験から、著作権管理団体の意義と必要性が理解できます。私は権利者団体から賄をもらってるわけでも、関係者でもありません。一権利処理実務者として思うのです。彼らが居丈高であったり、市場動向、世論を全く無視した権利主張をする所があるところは否定しません。しかしそれでも、申請すれば許諾されるというのは大量に処理する側としては大変便利なのです。存在の善悪の評価はさておき、申請すれば許諾されるという点については記憶の隅にとどめておいていただければ、必ず訳にたつ情報であると思います。
 さて、本題である、実際に著作物を利用する場合の注意点です。
 まずは著作物は一つの著作物から成り立ってるわけではないという点です。従って許諾を求める先が一つだと安易に考えないことが重要です。幾度も申し上げましたが、このもっとも基本的なことは忘れがちで、「権利者の確認がいります」と言おうものなら、「おまえが権利者だろう」っと言い返したくなるのです。使用する著作物は一つでもその背後に潜む著作物があるということをふまえ許諾先を想定することが必要になります。一つの著作物を構成している要素に分解してみるという作業は有用です。そうすることで許諾を取る相手と権利が明確になります。音楽の著作物なら作詞と作曲2つの権利があるし、楽曲をCDから取れば、さらに演奏家(実演家)、レコード会社が絡んでくる、小説は中身だけが著作物だから、作家の権利…というフウに。
 しかし、複数の権利者がいるからといって、それをめんどくさいというフウには思わないでいただきたいです。なぜ著作物を使いたいと思ったかという自分の欲求に立ち戻ることで、自身の創作意識や作品の完成度を高めるという創造の原点、それこそ文化について考察する機会ととらえるようになればと思います。
 次に無許諾で利用できるという著作権の例外規定(著作権の制限)はなるだけ考えないことをあげたいと思います。授業で使うからといってすべてが著作権法第35条でOKという訳でもないし、加戸説によれば、非営利・無料・無報酬の上映だって会場費の支払いがあれば該当しないというくらい、例外というのは厳密かつ厳格な判断を要求されるものなのです。
 「これは私的利用だから」とか「これは授業で使うから」と考えていると思わぬところで権利侵害となるわけです。しかし同時に忘れてはならないのは「権利者が言っていることがけして正しいわけではない」ということです。特に企業への問い合わせの場合、その担当者自身が著作権についてよくわかっていない場合が往々にしてあるのです。また権利のない権利者"もどき”がクレームを付けてくることだってあるのです。真の権利者が「利用してほしくない」と言った場合だけが、著作物が利用できない場面であって、それ以外は利用できる可能性が十分にあるのです。

 本ブログは教育と著作権についてのブログですので、学校での著作物利用に特化してお話ししようと思います。学校での著作物の利用については著作権の例外規定に当てはまることが多いので、利用する場合の条件をさらに細かく確認する必要があります。ちょうど「学校における著作物利用と権利処理」ということでお話しする機会がありますので、次回はその内容をお伝えすることにします。

(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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