2006年07月03日

著作物の(二次的)利用〜その4.著作物の借用 (2)新聞からの借用

 先回は映像作品(放送番組)の構成と再放送といえども権利処理が必要であることを述べました。他に学校教育でよく利用されると思われる著作物は、新聞でしょうか。
 新聞というのも著作物利用の観点からみると面白い構成をしています。放送番組と似たような構造になっていますが、著作物が見えているという点では少しシンプルかもしれません。新聞紙面は新聞全体の記事の選択や配列を新聞社が編集して構成されますので、編集著作物として新聞社の著作物ですが、紙面を構成する個々の記事になると微妙なはなしになるわけです。
 新聞紙面はいくつかの記事と広告等から構成されています。紙面全体には記事の構成や配列に創作性があると認められるので、紙面の編集著作物にあたり、編集著作権を持つ新聞社が著作権者となります。 
 紙面を構成する個々の記事は、新聞社所属の記者の原稿もありますが、契約したライターの記事やカメラマンの写真をつかっていることがあります。新聞社所属の記者の記事は「法人著作」として新聞社に帰属します。契約したライターやカメラマンの記事は新聞社に著作権が帰属しません。したがって借用にあたっては、その記者なりカメラマンと新聞社の使用契約の条件如何になるので、放送番組のときと同じように使用契約の条件という純粋に契約の問題となります。 
 さらに新聞自体は継続的刊行物です。継続的刊行物とは「冊・合・回を追って公表する著作物」ということで、新聞、雑誌、年報等の継続的に刊行される著作物を指します。ということは、著作権の保護期間の判定基準が普通の著作物と違い、公表される日にちが起算点になります。ということは、新聞自体の著作権は50 年前の新聞から毎年消滅していくわけです。しかし、個々の法人著作でない記事の著作権は、著者の死後50年となります。従って新聞に掲載されている記事や写真の二次利用を考える場合も、個々の記事の著作権者は必ずしも新聞社でないという点に注意が必要ですし、新聞紙面全体の著作権が切れても新聞紙面を構成する記事や写真の著作権も切れているとは限らないということに注意が必要となるわけです。
 
 では、新聞を二次利用したいときはどうするか。授業で利用する場合や著作権制限条項に該当する場合は当然許諾は必要ありませんが、例えば、授業で発表した内容を学校のHPに掲載したいというような場合は、授業以外の利用(目的外利用)になるので、改めて権利処理が必要となります。
 まずは新聞社に紙面の借用を申し込みます。記事や写真が外部のライターやカメラマンの著作物(と新聞社がきちんと認識していれば)であれば、きちんとした新聞社なら許諾先を教えてくれますし、自社記事のみの場合は利用条件(使用料やクレジットなど)を提示されます。
 ちなみに見出しは著作物ではないと解釈されていますので、複数の新聞社の「××逮捕」という見出しだけいくつも重ねて表示するなどの場合は、特段許諾は必要ないと考えます。また記事や写真だけを利用し、紙面全体の利用をしない場合は、編集著作権は働きませんので、単純に記事や写真の使用許諾を得ればよいということになります。
 その新聞社が著作権者である記事や、紙面についてはよく「同一性保持権」を理由に断れることがあります。「同一性保持権」は、非常に主観の強い権利です。同一性保持権は著作者「その意に反して」改変を受けないという権利であり、その判断尺度は著作者にある程度委ねられているわけです。従って著作者の主観的な要因が入り込む余地があるものですから、「いやだ」といわれれば「それはおかしい」という理屈をいくら並べても仕方ないということになります。但し「やむを得ない改変」である場合は、この権利は制限されます。もっともポピュラーな例は、学校教育において漢字等の用字制限のために、漢字を仮名にしたり、平易な語彙に改めるというものです。このような改変ですら「同一性保持権侵害にあたる」といっている新聞社があればそれは行き過ぎた権利主張であるといえるでしょう。

 新聞はどの授業においてもよく利用されますし、利用すべきであると思います。良質な文章、報告のあり方を学ぶことはすべての活動の根本であると思うのです。その教材としてそれが最適であるかはともかく、様々な著作物にふれるということは生徒には大切であると思います。そのために多少手を加えることについて寛容になっていただければと思います。

 放送、新聞と記載しましたので、次回は書籍について書いてみようと思います。 

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 14:58| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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