2006年06月26日

著作物の(二次的)利用〜その3.著作物の借用 (1)

 自分で何か作品を作るときに全く自分のオリジナルだけで構成することは難しいと思います。(それが著作権フリーと書いてあったとしても)他人の作曲した楽曲をBGMに利用したり、本から写真を利用したりすることがあると思います。複雑になるので、ここでは「引用」として認められる使用法は除きます。単純に自分たちの作品に「著作物」を借用するときです。
 例えば、映像作品を作ったとき、その映像作品全体は自分たちの著作物です。自分たちで撮影した映像はもちろん、BGMに利用したCDからとった音楽も、▼▼新聞社から借りた写真も、★★放送局から借りた映像もすべて映像作品の構成要素となり、「映像作品○○」という著作物として、制作した人に著作権があることになります(やはり複雑になるので、映像の著作権に特有な点もここでは割愛します)。制作した人は自分の著作物ですから、複製も頒布も公衆送信も自由にできますし、他人の使用の諾否も決定できます。
 但し、作品全体の著作者は制作した人であっても、作品の制作過程で人から借りたものがあります。これらは借りたからといって制作者のものになったわけではありません。お金を払ってレンタカーを借りたけど、そのお金は車を永遠に所有するための対価の一部ではないのと同じです。その目的、その条件で「利用」するために対価を払ったに過ぎません。借用著作物も同じです。写真を借りるときも映像を借りるときも必ず使用目的を明らかにし、その目的、その条件にしたがって利用できるだけです。それを超えて利用するときは、改めて交渉するわけです。
 したがって、先ほど「自由にできる」といいましたが、自由にできるのはあくまで徹頭徹尾自分の著作物な物だけ、一定の条件と目的を示して「借りた」物については、それ以外の利用方法(目的外使用)については、再度許諾が要るということになるわけです。

 意外かもしれませんが、放送番組の再放送も、この目的外利用等にあたる場合があって、再度権利処理が必要となる場合があります。もちろん番組制作の契約(出演とか借用とか)時において、「★★テレビ局、同ネットワーク局及び同時再送信する有線放送における放送、放送各話2回、但し24時間以内の再放送は放送波に関わらず1回と看做す」といった条件にしているはずなので、たいていは数度の再放送が可能です。しかし思いのほか反響がよく、再放送の要望が強く、先の契約の放送回数を超えて再放送することになったときは、改めて許諾を取る(これが権利処理です)必要があります。特に、古い番組(アーカイブスと呼ばれるようなもので、未だ著作権が存続しているようなもの及び所有権を主張されるような作品が含まれている様な場合)は番組の構成から紐解いていかなければなりません。この写真は借用か?ここで朗読されている手記は誰のものか?インタビューされてるこの人の肖像権はどうすればいいの??(これが一番難しいのです)などなど・・・。音楽のキューシートや構成台本、「権利台帳」などが残っていれば比較的簡単に処理が出来ます。しかし古い番組であればあるほど、そのような資料は残っておらず、当時の関係者を探し出し聞き出し・・・という地味な作業を繰り広げなければなりません。
 視聴者は放送していることから単純に、TV局ひとりが権利者だと思いがちなので、なんでそんな出し渋りをするんだーという感想を持つのですが、放送局は自社で最初に放送すると決めた回数分しか権利処理していないので、予想に反してブレイクすれば自社で再び放送するのにも再処理しなくちゃいけないわけです。それでもすべての権利を買い取るよりははるかに安いのですけれど。。。
 
 著作物(特に映像の著作物、特に放送番組)の場合は、たくさんの「素材」が集まってひとつの著作物を構成していますから、利用者としては個々の「素材」について個々の権利者(著作権者)の権利について注意することが大切です。特に、教育目的で利用するなど著作権の制限範囲での利用をするときには、ついつい忘れがちですが、利用者としては著作物の構成についてしっかり理解し、その上で、「やっぱり使いにくいので改善した方がいい」という意見を持ってほしいと思います。
 長くなりましたので、次回も「著作物の借用」について具体事例を交えてお話したいと思います。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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