2006年05月18日

「読み聞かせ」のガイドラインの矛盾点〜その4〜

3.解りづらい点、問題点。(その2)
 このガイドラインを「読み聞かせ」をする利用者からみると、実効性の点から次のような問題が考えられます。
1. きちんと使おうと思ったときに、何もわからない、ということ。
 ・問い合わせてふたをあけてみないと、許諾を得られるのかどうかわからない。
 (事業者であれば応諾義務があるので、とにかく利用は出来ることはすぐにわかります。)
 ・返答までにかかる時間。(どのくらい前に申請しないといけないかの予測が立ちません)
 ・許諾額。せっかく許可されても、読み聞かせ1回に付き10万円では難しいでしょう。
  まさかありえないと思いますが、さらに出版社の手数料が許諾料の10%かかるなどと言うことでは、使うなといっているのに等しくなります。(先の例で言えば計11万円になる。)
 ・対価発生の場合の責任者(支払い方法)
2. どんな作家の作品についても出版社が責任を持って問い合わせ、諾否を確認してくれるのか、という保証がないと言うこと。
 ・ A出版社に申請書を出したら「その作家の権利はすでにB社に移っていますので、B社に問い合わせてください」とたらいまわしにされるのであれば、直接作家に問い合わせたほうが早いと言うことになります。
 ・ 事業者に委託している作家については出版社は関係ないですから、出版社から事業者に申請書を転送してもらえるのでしょうか。

 そもそも「出版社」にはどういう権利があるのでしょう?作家の代理人?作家との共同著作(権)者? 著作権法上考えられるのは「頒布を目的とする」出版権だし、作家と出版社の個別の契約に則った話なら、全ての出版社が同じような契約書で同じような権利を作家から譲渡あるいは許諾窓口権を設定されているという前提がないと、結局それぞれ個別に交渉がいりますと言う結果になって意味がないんじゃないでしょうか。
 出版契約の実態という調査を見ても、自社で作成した契約書を使用しているところが多数ありますし、著者との出版契約は5割程度しか締結されていないことがわかります。作家−出版社の間の権利関係が不安定なのに、利用者には厳しいことを要求すると言うのはちょっとどうかと思います。もちろん書面契約がなくても「友好関係」があるから大丈夫と言うことかもしれませんが、じゃぁ利用者も友好関係を作るというところかはじめたいと思うのではないでしょうか。
 真のガイドラインであるならば、「物事を進めるうえでたよりとなるもの。参考となる基本的な方針。手引き。」(大辞林)足るべきなのに、これでは混乱の指針でしかないような気がします。

 問題は「出版社」という企業あるいは出版社の集合体である**出版協会(いくつかありますが特にどの団体を指しているわけではないので、単に出版協会とします)の立ち位置ではないでしょうか。
せめてこのガイドラインに則って利用させたいならば、申請書はすべて出版協会宛にして、出版協会が各権利者宛に送付する、このくらい責任をもってすべきではないでしょうか。
 利用者に手続きを踏ませるなら、出版社(出版協会)側も処理手続きの整備と簡便化について踏み込むべきではないかと思います。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 12:21| Comment(0) | TrackBack(1) | コラム
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