2006年05月15日

「読み聞かせ」のガイドラインの矛盾点〜その1〜

あまりのことに今回はこの件について書きたいと思います。いくつかの問題点、矛盾点の指摘を含め3回程度本件について述べていきます。

1.最初の感想。
児童文芸家の4団体が、「読み聞かせ」についてのガイドラインを発表しました。

「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら(asahi.com 2006年05月13日13時37分)
http://www.asahi.com/life/update/0513/006.html

日本書籍出版協会(平成18年(2006年)5月12日)
児童書四者懇談会作成 手引き「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」
http://www.jbpa.or.jp/guideline.htm

これは、何が目的なのでしょうか?
上記URLの記事から引用させていただくと、「作成した4団体は『絵本は完成された造形。勝手な改変で、著作者が不快感をもつこともある。細かい規定は、読み聞かせる側の不安解消を狙った』と話す」とありました。
本当に「不安解消」が図られると思っておられるのでしょうか。
記事には続けて、日本図書館協会からは、「内容がわかりづらく法的に問題と言うイメージが広がりかねないと申し入れ、このガイドライン作成に加わった親子読書地域文庫全国連絡会という団体は一定の評価をしつつも現場の萎縮を懸念している」とあります。
読み聞かせを行っている多くは、法律用語には無縁の、普通に子供が好きで、よい文芸作品を子供達に広めたいという人たちなのではないでしょうか?読み聞かせが広がって、そこでは不当に著作物が複製されて著作権が激しく侵害されている、著作(権)者の利益も、名誉声望も著しく傷つけられているのでしょうか。知らないうちに、法律に精通した「プロ」の「読み聞かせ屋」が暗躍して文芸著作物が危機に瀕している!と言う現状なのでしょうか?
いったい何が目的でしょう?「読み聞かせ」撲滅運動でしょうか、それとも新たな財源確保でしょうか。

この「読み聞かせ団体等による著作物の利用について」のガイドラインでは、「私たち児童書の作者と出版社では、そうした場(作品が子供たちに届けられるあらゆる機会の意か)での著作権のやり取りがスムーズに運用されることを願って、このたび簡単な手引きを作成しました」とあります。では、出版社の方は(作者の方もですが)、このガイドラインを見て、読み聞かせを行うときにどうすればいいかわかりますか?

このガイドラインがガイドラインとして非常に評価できる点は、非営利の概念として、「料金」の定義をはっきりしたと言う点だけでしょう。会場費や電気代などを含み、非常にわかりやすいし、現状に即した方針であろうと思います。どうしてこの流れでもう少しわかりやすく、平易な言葉なガイドラインにしなかったのかという疑問は否めません。

一方読み聞かせをしようと思っていた人にはこのガイドラインはどのように映るのでしょうか。かなり著作権についての啓蒙が進んだとはいえ、「著作者人格権に抵触(注意:「抵触の恐れ」ではない)、著作者の許諾を要す」と書かれたガイドラインをみて「そうか、著作者人格権に抵触か。許諾書をFAXしなくちゃ」と思うでしょうか?FAXして確実に許諾されるか判らない、使用料も発生するかもしれない、どのくらいで諾否の回答が来るのか、出版社から作者に問い合わすのだから時間がかかるかもしれない、等等の不安を解消するような記述は、このガイドラインにはどこにも書かれていないのです。「許諾を求めろ」だけです。

きちんと著作物が利用されることは大切ですし、そうあるべきです。しかし、このガイドラインと著作物の適正利用の目的の間には、恐ろしく広くて深い溝があると思います。そして大きな矛盾あります。

次回はこの矛盾について述べたいと思います。今日はあまりのことにとりあえず感想にとどめます。

(E)

※「「権利者団体」が「悪」な訳」本連載終了後に再開します。
posted by 著作権教育フォーラム at 22:57| Comment(2) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
新聞記事を見て、私も、「何のため?」と思いました。出版界のJASRACをねらっているとしか思えません・・・。
Posted by まつい at 2006年05月26日 00:10
コメントありがとうございます。
JASRACのようにきちん著作権管理事業者であるならば、
使用条件の公示や応諾義務があってある程度の使いやすさが担保されていますが、
この出版協会のガイドラインは、要許諾となってしまった場合に、
結局どうなるのかわからない、という不安が残ってしまうのが問題かと思います。
作家さんの団体はともかく、著作権者、管理者ではではないであろう出版協会のガイドラインでどれだけ安心できるのか、ということもよくわかりません。
私どもはこのような具体的な意見を発信することで、少しでも著作物の利用のハードルが下がるような、真にガイドラインといえる指針が権利者、利用者双方の合意の下に形成されることを期待しています。まだまだ至らぬところは多いですが、なるべく公平な立場からの見解を述べていたいと思っております。今後ともご意見いただけますようお願いいたします。
Posted by 事務局 at 2006年06月02日 12:54
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