2007年03月29日

「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に対する意見

知的財産戦略本部が行った「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に対して次のような意見を行いました。

内閣官房知的財産戦略推進事務局 御中

「第5章 人材の育成と国民意識の向上-」 の「5.国民の知的財産意識を向上させる」、
(1)教育機関における柔軟で実践的な知的財産教育の環境を整備する
(5)知的財産に関する国民への啓発活動を強化する についての提言

 平成18年度に引き続き平成19年度においても、人材の育成と国民意識の向上についての提言を行いたい。著作権を取り巻く現状は、経済的側面ばかりが強調され尊重されており、産業的枠組みの中で議論されがちであるが、著作権は万人にかかわることであり、特許等の産業財産権のようにはいかない。そのことを再度認識し、利用者たる国民のみならず、経済活動として著作権を扱う者、さらには著作権者に対しても、正しい著作権の啓蒙が必要である。
 とくに国民の知的財産意識の向上については、学校における知的財産教育のみならず、社会全体の知識の底上げを目指すことを提言するものである。

1.(1)について
 学校教育においては、「知財教育」を特別なカリキュラムとして位置づけるのだけではなく、就学年に応じて、各学年各教科の中に潜む知財問題を絡めて、知的財産権の基礎的部分を体得させるような学習指導要領を検討すべきであると考える。一定の理解力が付く高校生程度になってから、具体的な制度を「知財教育」として単元化する等、学習者の程度に応じた柔軟なカリキュラムの策定が必要である。

2.(5)について
 現在、著作物の利用については、経済的側面からの著作物流通の整備は行われつつあるが、商業ベースの利用者へ利便性が図られるばかりで、一般市民、教育関係者に対する配慮が少ない。知的財産といっても、著作権と産業財産権は明確に区別されるべきであり、文化的意義を軽視してはならない。国民全体の意識の向上のためには、産業面だけでなく、最終的に著作物を手にし、楽しむ市民、生徒、児童等が、著作権を障害と感じることなく、著作物を自由に利用し、また自らも著作者として発信できるような環境の整備が必要である。市民の積極的な著作物利用の推進を図ることは、著作権意識についてより身近に考える事の大きな契機となる。

3.国民の知的財産意識を向上させることについての新たな提案
 (5)知的財産に関する国民への啓発活動を強化するに関連して、著作権意識の啓発活動を支える環境づくりの一環として、以下の提案を行う。
 著作物利用の原則は契約による利用である。しかしながら、そのような利用については、まだまだ一般市民レベルではなじみが少ない。どのような場合に無許諾で利用できるのか、という権利制限にあたる場合の利用に終始し、関心もその点が中心であることも少なくない。著作権意識の向上には、著作物の契約利用を身近なものにし、積極的な著作物利用を促進する必要が大である。
 しかしながら、その利用スキームは産業利用に前提にしたものが少なくない。著作物の利用推進を図るには、一般個人の私的使用を超えるが零細な利用や教育等を含む非商業利用への配慮が必要であり、そのような利用を支援する構造の検討が必要である。
 商業利用の場合は、人的経済的に組織を構成し、著作物利用について一括した検討、要請が可能である。一方、一般利用者、特に個人の利用者は、個々の努力により適法な利用を努めようとすることが精一杯であり、まとまった提言等を行うことは難しい。また、利用者-権利者間の交渉については、個々人の交渉には限界があり、さらに一般利用については、「利用者団体」というものは、性質上、形成されにくいものと言わざるを得ない。
 このような状況を鑑みたとき、知的財産意識の向上のためには、これら一般利用者の契約利用への環境整備が必要であると考える。また、教育利用については、利用方法、許諾方法等につき、提言し改善することまでも視野に入れ、それぞれの現場でまとまるよう組織づくりを進める必要がある。
                          以 上
posted by 著作権教育フォーラム at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 提言
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/3617345
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック