2008年08月30日

「教育の中の著作権を考える」 その2.視座の転換のために(1)

  著作権教育を改めて、基本的なところから考え直そうと思います。これまで、著作権について解説してあるものは、禁止する立場からの解説が多かったと思います。この視点を逆転することを考えてみたいと思います。「〜したらだめ」というのではなく「〜するためにどうするか」という視点への転換です。その上で、「著作権教育の必要性」ということを改めて考えてみたいと思います。そのために先ず、3つの視点を考えます。一つは、「著作者としての視点」、二つ目は、「特別なものではないという視点」、そして3つ目は「教員が学ぶ」という視点です。連載では、逆の順番で紹介しています。なぜなら、『教員が学ぶ』ということが、最も大切だと思っているからです。けれど、このブログでは、あえて、さかさまから考えてみようと思います。どうして、教員が学ぶ必要があるのかということを、じっくりと考えてほしいのです。


1.創作活動を通して著作者側として、著作権を考える〜利用者の視点から、権利者の視点へ

 第1回目では、「著作権教育導入のポイント」について、ご紹介しました。最近は随分と指導方法も変わってきましたが、それでも、著作権や、著作物利用については、「〜すると違反」という視点からの解説が多いように思います。どうも、著作権法には、アレもダメ、コレもダメ、と、してはいけないことばかり書いているような印象をも立たれているように感じます。
 けれど、決してそうではありません。文化の発展のために、著作物の正しい利用をしていこうということこそがその中心の理念です。著作権法のあちこちに、著作者の許諾を得れば利用できるという記述があることを見逃してはいけません。
 著作権法は、著作者の権利について、取り決めた法律ですから、「著作(権)者は〜する権利を(占)有する」という書き方になります。つまり、著作権は自分の創ったもの(著作物)を勝手に利用されないことを保障する権利です。だから、著作物が利用できるかどうかは、第一義的には著作者が決定することになります。
これを、利用者からみれば、利用に当っては、著作者の占有する権利に対して、許諾を得る必要があることになるのです。つまり、許諾がなく「〜すると違反」になるわけです。無断利用を防ぐには、こんな利用法は違法ですよ、NGですよ、と具体例を挙げるのが、手っ取り早く分かりやすいのですが、はじめにそのようにして、著作権について説明されるようになってしまったため、著作権は、作品(著作物)利用を妨げる悪者に思われてしまいました。
先ずは、著作権は利用を妨げているというイメージを払拭することが、大切ではないかと思います。

 ここで、ちょっと考えてみてください。よく、「学校では沢山の著作物を利用している」といわれますが、学校は、著作物を利用する一方でしょうか。確かに、テストや配布物への転用などの利用者としての立場は沢山在ります。けれど、学校新聞などの各種お便り、学校ホームページなど、先生や生徒が作成した記事や作品、写真など、学校関係者が作成する著作物もたくさんあるのです。学校で作成された著作物を、学校が情報発信者となり、取り扱う機会は、増加しています。
いつも利用者なのではなく、普段から、著作者として活動してるという点を、意識すると良いのではないでしょうか。
例えば、こういう例を想定してみましょう
いつもは、「学校のホームページに写真を載せさせて欲しい」というお願いをしているかも知れません。そんなとき、皆さんは、利用したい写真や文章を掲載している新聞の新聞社や出版社に連絡すると思います。記事を書いた人の名前があっても、作家の名前が分かっていても、その人の連絡先は分からないから、最初は発行社にあたると思います。
出版社や、新聞社が、著作物利用の依頼を受けた場合は、最初の窓口として、その依頼を受領し、そして出版社から、作家に確認してもらうことになります。出版社だって、紙以外の媒体、例えば、小説をネット配信する場合は、改めて、作家に許諾を取るのです。それは、「小説という著作物」の別の利用法だからなのです。

これの逆を考えてください。
学校のホームページに載せた写真を利用したい、修学旅行の記事を地域コミュニティ新聞に掲載したいという申し出があったとします。その時、先生は、学校はどう対応したらいいでしょうか。
学校に連絡が入ったとしても、相手が使いたい写真や記事は、先生や生徒が創作したものです。転載の旨を、先生や生徒(創作者=著作者)に確認すると思います。
学校のホームページだって、管理しているのは学校かもしれませんが、そこに生徒の作文や、文化祭の様子の映像を載せれば、それぞれの著作権は、作文を書いた生徒に、映像を撮影した放送部に在ることになるのです。
学校の名前で、ホームページが管理されているのであれば、最初の窓口は学校になります。情報発信者が最初の窓口になるということを、忘れないでください。
学校全体で、著作権の知識を持つということは、単に利用者という立場だけでなく、窓口者/権利者という立場からも必要なのです。

(続きます)

(え)
posted by 著作権教育フォーラム at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/18591201
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック