2006年11月05日

「禁止事項の学習から、利用方法の学習への転換」(その1.背景)

 本日まで第22回日本教育工学会に出席しておりました。今回は学会発表した内容について少し申し上げます。
 「著作権学習の新たな視座:禁止事項の学習から利用方法の学習への転換」と題して発表いたしました。この発表は、私どもが最初に学校教育現場の先生方に対面式のインタビューをしたときの結果から企画された体験型著作権学習イベントの成果についての最初のまとめでもあります。

 04年に「著作権に関する教育現場の意識調査」を行ったとき、そこから見えてきたのは著作権を気にするあまり、著作物の利用について必要以上に消極的になる傾向と、一方で無意識の侵害をしている教師の姿でした。そして、調査に協力してくれた教師の全員が「何が適法で、何が違法か」を教えてほしいと思っていることも解ったのです。しかし、著作権に関する問題は、○と×ではくくることが出来ない、つまり、個々のケースで判断や対応が異なるという特質があります。さらに、この場合は適法、こちらは違法とわかったところで、では実際にどうすれば良いのかという実践的具体的な方法を提供するような機関、団体は現在の所全くといっていいほどありません。すべて個々の質問に回答するだけです。権利処理を自ら行う先生も増えてきています。権利者団体と交渉した経験を持つ先生方も沢山いらっしゃいます。しかし、その個々の先生方の知識や経験、ノウハウは他の先生方になかなか共有されにくい、というか、共有する環境がないのが現状です。
 適法な利用方法を教えないで、「これは違法です」とばかり教えている環境では、確かに違法利用は減ったかも知れないけれど、適法利用が促進されているわけではないという奇妙な状況を生み出しています。これではいけない。「著作権がコワイから利用しない」というのでは著作権法の理念に反します。「著作権処理は面倒くさいから、著作権フリーですまそう」というのも著作権の本来的意義が理解されていないということになります。学校は一定の条件の下著作権が制限され、著作物が自由に使える環境となっています。しかしそれはあくまで例外的な状況であり、社会においては通用しない事になります。
この様な現状から、私どもは実践的かつ実社会における著作物・著作権の実践的な扱いを体験することで著作権の現実的な意味を教えることを狙いとして、体験型の学習イベントを企画するに到ったのです。
 このイベントは、映像作品の製作を通して、権利処理を行う中で著作権について学ぶということが目的です。自らが作品制作することで、クリエータ=著作者となると同時に、例えば音楽をBGMとして使用するという他人の著作物の借用を通じて、利用者としての立場も学びます。さらに、自分たちの作品を誰かが利用したいと申請してきたときには、かつて自分たちが利用者として権利者と交渉した時のように、今度は権利者として申請してきた人に「同じような態度」を取ることが出来ることを理解することが出来ます。利用者と権利者双方の立場に立ったとき、その二者をつなぐ「著作権」という物を体感することが出来るのではないかと思うのです。
 こうして、「実践!著作権」というイベントが企画されました。
 次回は体験型学習イベント「実践!著作権」の内容と分析をお話しします。
 なお、このイベントは05年、06年と開催しており、本年度の企画については「実践!著作権」ブログにて、ワークショップの様子を開設しておりますので、ご参照いただければと思います。こちらの著作権教育フォーラムブログに於いては、イベントの内容と分析について記載していこうと思います。

 (E)
posted by 著作権教育フォーラム at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1657732
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック