2006年10月18日

利用者としての教育現場のあり方

 先日、私も副会長をしておりますひょうごe-スクールコンソーシアムITコンテンツ利用研究部会の著作権イベント実行委員会が主催する体験型著作権学習イベント「実践!著作権」の成果発表の場である、「実践!著作権」フェアのパネルディスカッションにパネリストとして参加しました。
 ディスカッションのタイトルは、「著作物利用のフロンティアを拓く」ということで、教育現場から教員2名、権利者として権利者団体及び映像コンテンツ関連企業からそれぞれ1名、そして私がコメンテータです。
 ディスカッションでは、教員から教育現場における具体的な問題点が挙げられました。それに対して権利者としても、対応はしたいが窓口が交渉の窓口が1本化されていない等の現実的な問題点があげられました。私はこの「実践!著作権」では権利処理のお手伝いもしておりましたが、その際有効であったのは、やはり「権利処理機構」というものを立ち上げ、イベントにおけるすべての権利処理を一元化し、交渉を一手に集中させたところにあると思っています。
 例えば卒業アルバムDVDにBGMをつけるということは、最近では良くあることですし、学校でも自宅でもネットから音楽や映像を容易にダウンロードできる現状では、「勝手に●●すると違法です」という教え方では限界があると思っています。「では適法に使用するにはどうしたらいいか」という点まで教育するときに来ていると思います。
 では実際に卒業アルバムDVD制作でBGMを使う際の権利処理の知識、経験のある先生はどのくらいいるでしょうか。音楽だからJASRACでしょとだけ思っておられる先生はどのくらいいるでしょうか。実際に楽曲をCDから利用した場合の原版についてきちんと処理できているでしょうか。
 NHKの番組は公共放送だからもっと自由に使わせて欲しい、とだけ思っている先生は多いのではないでしょうか。しかし「放送番組」にはテレビ局の権利だけではない、数多くの権利が含まれているということをきちんと理解しているでしょうか。
 もちろん、自ら権利者団体や企業に電話をし、「粘り強い」交渉をして、許諾を得ている先生はたくさんいるでしょう。しかしそれはその先生個人の経験と実績にしか、今のところはなっていません。残念なのは、そういった先生方の体験が共有できないこと、もっといえば、その体験が新しい「学校における著作物利用のルール」に結びつかないことではないでしょうか。
 この点は権利者からも指摘されるところです。常に個々人が個々人の利益のために交渉しており、けっして「学校教育」全体の利益として結びつかないこと、これは非常にもったいないことです。
 「実践!著作権」はわずか参加校5校というイベントですが、それでも小さな「団体」として、各権利者団体との一括交渉が可能でした。今後そのような指導的立場、学校現場を代表する立場として、例えば県教育委員会等が著作物利用のための交渉窓口として活躍すべきなのではないかと思います。少なくとも、このイベントを2年続けて開催したからには何かしらのアクションがあればいいなと期待しています。
 個人の先生方の努力を生かせるように、より良い教育のために、著作物利用を禁止する学習から積極的に利用する学習への転換が必要なのではないかと思います。
 著作権イベントについては、「実践!著作権」ブログの方をご参照ください。
 丁度、10月は本の刊行対談等でお話しする機会がありましたので、今回から数回はまさに「教育と著作権」について述べていきたいと思います。

(E)
posted by 著作権教育フォーラム at 13:45| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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