2006年09月25日

ネット配信への期待 その1

 通信と放送の融合について色々と議論されている中、どうしてもネックは権利処理だということになっているようです。そのため様々な団体等が音頭を取って何とか権利処理をスムーズに出来ないかと活動しています。そんな中、久しぶりに面白い記事を見つけましたの、今回から3回程かけて、このお話を取り上げようかと思います。

2006年9月11~12日付の記事で、
「テレビやラジオ番組のインターネット配信を促進するため、日本レコード協会(RIAJ)と実演家著作隣接権センター(CPRA)は、10月8日からレコード製作者や実演者の権利を一任管理する。」という発表がありました。この2者がネット配信における著作隣接権の一元的処理を担う、というもので、既にJASRAC がネットでの楽曲使用について一定の利用規定を運用していますので、これで、ネットにおける楽曲使用については一応すべての権利処理が可能になった、と考えることが出来るでしょう。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/18783

 「なんでレコード会社が?」「なんで実演家が?」と思われる方も多いと思います。
 先ずは、「音楽の著作物」の構成と、「音楽を利用」する際に関係する権利について整理したいと思います。
 音楽の著作物は、他人に利用されることが最も多く、それゆえ権利処理についても一番ノウハウが蓄積されている、いわば著作物利用の鏡みたいなところがあるのですが、逆に業界的に整理されているので、普通に権利処理をしようとなるとちょっと混乱することがあるかもしれません。そこで今回は「音楽著作物」について少しご説明をしておきます。
 音楽は、楽曲(メロディ)と歌詞から構成されます。歌詞がないものもありますが、大体この二つが音楽の柱になります(シンプルにご説明するために、「編曲」については触れません)。楽曲を作曲する作曲家は、「楽曲」という著作物を創作した「著作者」です。作詞家も同様に「歌詞」を創作したので「著作者」です。
この二人が「音楽の著作物の著作者」になり、著作権を持つことになります。
 しかし作詞・作曲されても、「演奏」されなければ誰の耳にも届きません。そんな「音楽」があること自体、知られることがないかもしれません。そこで、音楽を演奏する「実演家」という人の存在がクローズアップされます。「実演家」というと硬い感じがしますが、俳優や歌手や演奏者やバンドマンやとにかくそういう「音楽を世に伝える人たち」の総称です。
しかしその実演歌の演奏等は、生演奏ではそこに集まって人にしか伝えることが出来ません。しかしその演奏を放送したり、CDに録音して発売すればもっと多くの人がその音楽に触れることが出来ます。ということで、著作権法においては、著作物を世に広めることを担っている放送事業者とレコード会社と「実演家」の3者を、「著作隣接権者」といい、著作隣接権者の持つ権利を「著作隣接権」と定めます。著作物の傍らにいるもの という感じでしょうか。従って著作物(著作者)あっての著作隣接権者なので、権利は著作家よりちょっと弱い権利です。
 さて、では実際に「音楽をBGMに使う」を具体的に考えてみましょう。楽曲を自分で演奏しますか?CDから利用しますか?多くの場合、「CDから利用する」ということを選択するのではないでしょうか。となると、CDを制作したレコード会社の権利=著作隣接権が働くということになります。このように 「音楽の利用」には作詞者・作曲者だけでなく、必ずといっていいほど「隣接権者」が付帯しているということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
 この著作隣接権者の権利処理を忘れるという方は現実にたくさんいらっしゃいます。というか気が付いていない。みんな音楽はJASRACが何でもやってくれると思っているところがあるようです。もちろん企業で楽曲使用が生業のものは分かっていると思いますが、それでも「放送局」は著作権法で楽曲使用について特殊な事情を持っているので、もしかすると放送だけやっている人にも隣接権は分かりづらいかもしれません(ライツや法務の人は別です。彼らはプロですので)。その放送局の人が今度はネットで配信するわけですから、いきなり権利処理をやれといわれても、また放送番組に使用される音楽は膨大ですから、一件一件処理するのは難しい。その意味で今回の一元処理というのは大いに期待できるのではないかと思います。
 ちなみに、日本レコード協会というのは、CDが番組のBGMに使用された際の二次使用料、貸レコード報酬等の徴収・分配を行っている指定団体で、傘下には多くのレコード会社があります。http://www.riaj.or.jp/
 もう片方の実演家著作隣接権センター(CPRA:クプラとよみます)は、俳優等の実演家の権利処理を行っており、RIAJ同様CDの二次使用料、放送番組等の二次利用に伴う使用料などの、徴収、分配もしています。日本芸能実演家団体協議会、日本音楽事業者協会などが構成団体となっています。http://www.cpra.jp/

 以上、簡単に音楽にまつわる著作権と、今回の権利処理に関わる2社についてご説明したところで、次回は、放送番組と音楽使用についてご説明し、次に放送番組がネットで配信される場合に、なぜ今回の方法が有意義であるかについてお話したいと思います。

(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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