2006年08月04日

著作物の(二次的)利用 その9〜学校における著作物利用と権利処理(3)

<権利処理を必要とする場合>

 先に申し上げた「権利処理が必要となる場合」をそれぞれ具体的にみていきます。
 まずは、権利者の権利を不当に害する場合。
 これは利用する著作物の、種類・本来的用途・複製される部数・状態から判断します。
 よく言われますのは、市販の問題集を1冊だけ買って生徒に全部コピーして配る例。これは問題集は元々一人1冊購入され利用されることが目的なので、問題集の出版社の経済的権利を不当に害すると言うことで、学校の授業といえども許されないといわれております。他に、合唱コンクールの課題曲の楽譜を全員分コピーして配るですとか、1台分しか得ていないPCソフトのライセンスを複数台のPCにインストールする等があげられます。
 複製される部数や使用の状態に関係するものは、受け持ちクラスの人数以上の部数をコピーすることがあげられます。では、何部までなら許されるのか。30なら良くて50はだめなのか、一クラスというが大学だと300人規模のクラスもあるではないか…等々色々と話題に上りますし、50まではよいといった発言が一人歩きしていることもありますが、何部までは良いという明確な規定はどこにもありません。
 ただよい目安としては、35条ガイドラインにおいて「原則として、部数は通常の1クラスの人数と担任するものの和を限度とする」とし、続けて「小中高校及びこれに準ずる学校教育機関以外の場合、1クラスの人数は概ね50名程度を目安とする」となっています。ガイドラインとして各権利者団体のHPにも記載されていますので、少なくともこれに従った部数であればクレームも付きにくいといえるかと思われます。
 それからあまり言われないことかもしれませんが、学校での利用といえども著作者人格権まで制限されるということではありませんので、注意が必要です。もちろん通常の著作者人格権の及ぶ範囲よりは狭いと解釈されていますが、著作者の意に反する改変、つまり望まないような改変は学校教育といえども容認されないということになります。

 次に著作権法の例外に該当しない利用の場合。著作権の制限に該当しない場合というのは、著作権法30〜50条の規定に含まれない場合です。
 公衆送信は原則全て当てはまりませんので、注意が必要です。(当てはまるのは同時遠隔地地形の場合のみであり、私的利用でも例外ではありません)また、非営利無償無報酬以外の上映等も該当しません。
 入場料を寄付する目的でコンサートを開いた場合でも、入場料を徴収した時点でそれは無償ではないという解釈が取られています。先般の東京地方裁判所の判決を受けて、逐条講義の解釈についてご意見は多いと存知ますが、「著作権が著作者の排他的独占権である」と法が認めている以上、その例外としての規程は厳格でなければならないということの現われとしては正しい解釈ではないかと思います。但しそれが現実社会や実務にそぐうものであるかという議論は別であろうと思います。

 そして、目的外の使用をするとき。これは「著作権の制限に該当する利用法」で利用したものを別の形で利用する場合、つまり、35条に該当する行為によって作成された調べ学習の成果をHPで公開する、というような場合です。調べ学習の成果の中に他人の著作物を複製し利用していても、著作権の制限の範囲ですので問題はありませんが、これをHPで公開、つまり公衆送信するとなると権利処理が必要となる訳です。
 許諾を取って有償のコンサートを開いたら大変好評だったので、DVDに複製して皆に配るというのも、コンサートを開く=演奏するという許諾と、DVDに固定し複製するという行為は別の行為であり、再度権利処理が必要と言うことになるわけです。

 さて、自分が利用が著作権処理が必要な場合に該当したらどうすれば良いでしょう。次回は「権利処理」の実際を解説してみようと思います。

(E)

posted by 著作権教育フォーラム at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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