2007年05月24日

例えば学校での著作物利用を社会に生かすには・・・

先回、経団連主導の著作物の二次利用の促進を図るための著作権情報データベースについて触れました。その際、学校などでの利用はどうすればよいのかということを申しましたが、今回はそのことをもう少し考えてみたいと思います。
 学校教育における著作物利用ですから、経済活動とは直接結びつきにくいでしょう。また、普通に授業している場合は、学校での著作物利用は制限規定の範疇で済みますから、直接的に学校が利用する状況はあまりないかもしれません。しかし、調べ学習の成果をHPで公開するなど公衆送信に絡む場合を含め、学校からの情報発信が進んでいる今日に於いては、情報の整備と共有は欠かせない事だと思います。
もしも学校のための情報整備が、学校と社会、もっといえば経済活動に結びつくような場合を想定しなければ、積極的には行ってもらえないのだとしたら、学校は何ができるのでしょうか。
実は学校には強力な利用法が一つあるのです。著作権法第36条で規定されていることの転用、つまり、受験問題の提供です。これを利用して、学校での著作物利用のための著作権情報データベースの構築に結びつけるというのはどうでしょう。
学校での試験ですから、学校は著作権法第36条に規定されているとおり無許諾で試験を行うことが出来ます。この試験問題の権利処理データベースを出題した学校と一緒になって整備するのです。学校での著作物利用とは直接関係することではありませんが、過去問題集や赤本等を作成している出版社にとっては大変需要が見込まれると思います。また、出版社ごとに権利者を探すということも手間も省けるでしょう。
 試験問題の二次利用を推進する団体を設立し、学校が積極的に参加すれば、情報の収集はかなり効率よいでしょうし、もっと多くの試験問題の二次利用が見込まれるのではないでしょうか。
(注:現在は、有限責任中間法人日本著作権教育研究会が著作物の使用許諾申請代行業務をおこなっており、自社のデータベースを整備されています。)
 出題者である学校は、試験問題と出典元の情報を提供するだけですから、あまり手間にはならないでしょう。二次利用を推進する団体は、学校からの情報提供を受けて、試験問題の権利処理を行います。学校からの情報の提供については無償ではなく、提供した学校へ情報提供料が支払われる、試験問題が二次利用されれば使用料が支払われる、あるいは例えばそれらを当該団体が一括して受領し、「学校での著作物利用についての経費」として予算配分するなども考えられると思います。学校に権利処理予算が付けば、「お金が掛かるから」という理由での、学校における著作物利用が躊躇されることは、多少なりとも解消されるのではないでしょうか。
 また、試験問題の二次利用をきっかけとなり、学校での著作物の利用も進み、適法な著作物利用についての意識も向上するのではないでしょうか。さらに、私どもが主張しております、学校での著作権法の制限規定を超える著作物利用についての権利処理を扱う集中機関の設立に繋がれば、学校での著作物利用はもっともっと円滑に行われ、著作権についての啓蒙も進むと思うのです。

 今回はあえて、産業界にお手伝いしてもらえるようなスキームを考えてみましたが、本当は教育のことですから、教育界が主体となって利用し易い環境の整備を行っていくべきなのでしょう。
(E)

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2007年05月08日

学校の中の著作権講座第第2回「地図の著作権」

第2回目は「地図の著作権」です。質問は「社会科や総合の時間で地図が必要なのですが、地図にも著作権があるという話を以前に聞いたことがあります。」というものです。

1. 質問への回答 = 地図は著作物です。
2. 権利処理の方法 = 個別に行います。
3. 注意すべき点 = 著作権の存続期間が過ぎていても国土地理院発行の地図を利用する場合は、国土地理院長の承認が必要です。

<補則解説>
その1:測量法と著作権法
 地図のうち国土地理院が発行しているものは、測量法により、複製又は使用に際しては原則として、国土地理院長の承認が必要です。これは測量法(昭和二十四年六月三日法律第百八十八号)第29条、第30条の規程があるためですが、測量法の前身である陸地測量標条例等に基づいて作成された地図も含まれるため、著作権存続期間に関わらず明治23年以降に発刊された地図すべてに該当します。明治23年ですから、「古地図」といわれるもの以外はほとんど該当するのではないでしょうか。
従って、国土地理院の地図の利用に際しては、著作権の処理のみならず、国土地理院長宛に書面申請書を送付するということに注意が必要です。

その2:権利処理の方法、国土地理院への申請方法
地図の著作物には音楽や文芸のような権利者団体というのはありませんから、個別の処理になります。
既刊本(地図)からの転載については、当該書籍(地図)の出版社に問い合わせて下さい。
国土地理院発行の地図の場合は、同院への直接申請となります。
申請が必要かどうかは、同院HPのフローチャート に大変わかりやすく説明してありますので、ご参照下さい。

その3:学校での利用に際して
 「測量法第29条の規定に基づく承認取扱要領」第6条には著作権法との関係がきちんと明示されており、著作権の制限規定を尊重するとあります。さらに、国土地理院のHP「測量成果の複製・使用」という所に、「出典明記で利用できる場合」という項目もあります。質問のように、学校で利用する場合は、主に著作権の制限規定(第35条、36条など)に該当するでしょうし、学校のHPにアップロードする場合でも、「出典明記で利用できる場合」に該当するでしょう。
つまり、国土地理院発行の地図を学校で利用する場合は、著作権処理も含めて、結果として申請は不要で、出典明記だけでよいということになります。
 もちろん、利用する地図に同院以外の著作者が存在する場合は、学校のHPにアップロードする等著作権の制限規定以外の利用の際には、その著作者の著作権処理(許諾)が必要となります。
 
その4:国土地理院発行の地図を出典の明示だけで利用できる場合
 国土地理院HPの「出典明記で利用できる場合」から、学校に関係あると思われる部分を簡単に記載します。
 まず、研究発表等の学術論文に掲載する場合は大きさ、枚数等条件無く利用できます
次に冊子や報告書に掲載する場合は、まず内容補足のために少量の掲載が認められています。量については、
掲載地図が冊子等の1ページの半分以下の大きさなら、冊子総ページ数の10%以内、
大きさが半分以上1ページ以内なら、総ページ数の1%以内のページ数、
非営利目的の1枚もののパンフレット等には、その図面の大きさの約20%以内、
Webサイト等では、サイト等全体の中で、挿絵的に3枚程度利用
と具体的に記載があります。
 

普段何気なく利用する地図ですが、こんな事情が隠れています。
次回は「著作権フリー」についてです。
(E)
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