2007年04月15日

著作物利用は商業利用だけではないと思うのだが・・・

 先日「政府の知的財産戦略本部の提言に基き、日本経団連が中心となって・・・著作権などの情報を一括検索できるポータルサイトが公開される」
という記事がありました。
経団連が中心となっているのですから、幾分商業利用に特化するような面もあるかと思っていましたが、記事では「情報は、一般ユーザでも閲覧できるが、2次利用の許諾を得るための連絡先情報は、有料会員登録をした企業ユーザに限って閲覧できる。」と続いており、大変驚きました。
 権利処理は企業ユーザしかしないと思っているのでしょうか。それとも一般ユーザでも適法に著作物を利用したければ、先ずは情報収集のために相当額の対価を支払い、さらに使用料の交渉をしろということなんでしょうか。
 知的財産戦略本部の提言では、クリエータもユーザも納得できる「(知財)大国」を目指し、「アーカイブを手軽に検索できるポータルサイト構築の取り組みも支援」とあるのですが、この場合ユーザとは商業利用をする利用者だけを指し、円滑な商業利用をするためのポータルサイト構築だけを支援するという意味だったのでしょうか。
先般、当フォーラムから提出したパブリックコメントに著作物利用について商業利用にのみ利便性が図られているという点を指摘したのですが、まさにその指摘の具体例の記事ではないかと思いました。
 もちろん、経団連の構築したポータルサイトを見た上で再度検証する必要があるでしょう。しかし、記事からは、一般ユーザは権利処理に際し今までとなんら変わらない、自分で権利者を探す努力を強いられるように思えます。まぁ多少は取り掛かりが提供されるのかもしれませんが・・・。
 もしかしたら経団連の言う一般ユーザというのは、一人ひとりの個人を想定しているのかもしれません。個人が権利処理をするような場面は少ないと仮定し、たまにする権利処理なら少しぐらい手間がかかっても良いと合理的に判断したのかもしれません。
(私は全く賛成できませんが、経済合理主義的視点からは正しいのかもしれません)
 では個々人でも、商業目的でもない利用者はどうすればいいのでしょう。非商業利用のユーザは学校をはじめそれぞれの規模は小さくともユーザ全体としては大きな位置を占めると思われます。しかし営利目的ではありませんし、そのようなユーザが潤沢な資金に恵まれているとは思えません。そうするとこの経団連のポータルサイトはこのようなユーザをも排除しているといわざるを得ないことになります。端的に言えば、商業利用以外の著作物の利用は認めないということでしょうか。
 学校や個人ユーザは一定の利用について著作権が制限されますから、無許諾で使用できるようになっています。しかし、学校でインターネットに情報アップすることは当たり前になってきましたし、学校行事をビデオで録画し、卒業アルバムDVDに使用したり、合唱コンクールのCDをクラスで作ったりという活動は盛んになっています。これらは著作権の制限規定から外れる活動ですから、完全に適法に行うには権利処理が必要になります。「そういった活動は本来学校で行う必要のある活動ではない」と切り捨てることもできるでしょう。しかしそれはあまりに現実的ではありません。それに、権利処理をしても作りたいという希望に一切添う必要がないという意見はあまりに独善的ではないでしょうか。
 商業利用を先行させるなら、非商業利用についてもっとサポートがあるべきです。別の角度からの支援でもいいでしょう。例えば、学校利用についてのルール、その他非商業利用に付いてのルールなど、各著作権団体が対応できれば、経団連のポータルサイトは商業利用のみということで十分でしょう。しかし現在このような切り分けも出来ていない状況で、商業的利用だけが支援されるというのは納得できません。
 著作権が財産権の部分だけを肥大化させ、単なる経済活動の一つになってしまった感があります。著作権法が掲げる根本精神はどうなるんでしょうか。

(E)
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2007年04月09日

学校の中の著作権講座第1回「音楽発表を録音したCDの配布」

出版物サポート
 4月8日より、少年写真新聞社『学校コンピュータ』で「学校の中の著作権」講座の連載がはじまりました。月一回の配布に併せて、当HPにおいて、誌面に書ききれなかったことを、補足して解説して参ります。
 この連載は、実際に学校現場で起こりそうな事例を質問形式で取り上げ、1.質問への回答、2.権利処理の方法、3.注意すべき点の3つの視点から著作物利用について考えてもらおうというものです。当HPは補則解説ですので、特に注意すべき点について細かな説明をしていきます。

 第1回は「音楽発表を録音したCDの配布」です。
質問は「校内の合唱コンクールの発表を録音して、記念のCDをクラスの全員に配布したいのですが無許諾できますか?」です。
1. 質問への回答 = 許諾が必要です。
2. 権利処理の方法 = 当該楽曲の管理団体へ申請
3. 注意すべき点 = 合唱の様子を撮影したDVDは「ビデオグラムの製作」になる。
           外国曲の場合は直接権利者と交渉の場合もある。

<補則解説>
その1:著作権の存続期間について
 この設問のような利用法では「許諾が必要」ですが、楽曲の著作権が消滅している場合は、許諾の必要はありません。
  著作権は著作者の死後50年で消滅します。しかし音楽の著作物のように、作詞者と作曲者が別の場合、楽曲の著作権はそれぞれの死後50年でそれぞれの著作権が消滅するということになります。例えば、北原白秋作詞、山田耕筰作曲「からたちの花」であれば、北原白秋の死後50年が経過しており、詞の著作権は消滅しています。しかし、山田耕筰の著作権はまだ存続していますから、曲の著作権が存続している事になります。
  さらに、曲の場合は編曲者という人もいます。編曲者の著作権が認められている場合は、編曲の著作権についても注意しなくてはなりません。クラシックのように原曲の著作権が消滅していても、編曲者等の権利が存続中の場合もあります。

その2:専属楽曲〜作詞・作曲・編曲以外でも許諾が必要なもの
楽曲には、専属楽曲といって作詞者・作曲者がレコード会社に専属するという契約を締結している楽曲があります。専属楽曲の場合は、その著作者が創作した楽曲の録音使用については、当該レコード会社に独占的な利用が認められています。そのため、これらの楽曲を利用する場合にはJASRACへの申請の前に、当該レコード会社の許諾(専属開放といいます)を得る必要があります。なお、この場合は別途専属解放料が掛かる場合もあります。
例えば合唱曲の「大地讃頌」は非常によく歌われる曲だと思いますが(私も中学生の頃歌った記憶があります)、この曲はビクターエンタテインメント株式会社の専属楽曲のため、JASRACだけでは許諾することができません。JASRACの楽曲データベースJ-WIDに「専属」というマークがありましたら、まずは専属会社に連絡をしてください。

その3:使用料計算
 ここではJASRACを例にご紹介します。
 1〜49枚複製する場合=400円×楽曲数+消費税
50枚以上複製する場合=8円10銭×複製枚数×楽曲数+消費税
となります。但し1曲とは5分未満を指し、5分以上の曲の場合は、5分ごと1曲と計算します。例えば17分の曲は4曲に相当します。
なお JASRACホームページ「CD・テープ・ICなど録音物の製作」に、申請方法や記載方法など記載や、使用料の概算も計算できます。申請書もダウンロードできますので、参考にして下さい。
 また、記事にも記載しておりますが、学校、個人等の非営利団体が、定価なしで制作する場合は、「非商用」として、使用料の減額措置として、録音物については通常の使用料の半額になる事があります。自分たちの使用がこの「非商用」に当たるかどうかは、JASRACに確認する必要がありますが、この様な減額措置もありますので、一度試してみては如何でしょうか。

その4:JASRACの重要な変更
 今年4月より、JASRACでは許諾証紙が廃止されました
 これまでは、許諾された複製物には、許諾番号、許諾証紙(JASRACシールといわれるもの)の貼付が条件でしたが、4月1日以降に申請許諾分から、この証紙が廃止となります。但し、楽譜のコピーについてはこれまで通り証紙が必要ですので、必ず貼付してください。

 これから紙面と連動して半年間、月1回の補足を行って参ります。

(E)

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