2007年02月06日

何が適法で、何が違法なのか

 まずは、あなたの着うた(R)は違法ですか?──中学生は64%が利用という記事をご覧ください。

 生徒さんの携帯の使い方を気にしてらっしゃる先生方も少なくないかと思います。もし違法サイトの利用自体が違法であれば、万引きを防止するのと同様の対処する必要があるように思います。しかし、現在の著作権法では、適法なサイト違法サイトであれ、私的複製(ダウンロード)であれば、適法です。もちろん、そのようなサイトを利用することは、モラルの問題が生じえますが、道徳として考えることを除き、単に違法か適法かといえば、適法ということになります。

 さて、この記事には、知的財産概念に対する正しい理解を促すという観点から、問題のある表現が散見されます。
 一つは、「無料で楽曲をダウンロードする行為は、当然ながら違法…いや、正確にはダウンロード自体が違法行為なのではない(サービスやプロモーション目的で、権利者自ら無料でダウンロード・データを開放することはありますね♪)。」という表現です。
 さきほども説明しましたように、違法サイトであれ、適法なサイトであれ、私的複製であれば適法です。無料かどうかも関係ありません。したがって、「無料で楽曲をダウンロードする行為は、当然ながら違法」というのは誤りです。
 もちろん、この記事では続けて、「正確にはダウンロード自体が違法行為なのではない」とされています。しかし、その後の()内では、「サービスやプロモーション目的で、権利者自ら無料でダウンロード・データを開放することはありますね♪」」とし、無料サイトでも適法サイトであることが指摘されています。繰り返しますが、ダウンロード(私的複製)は、適法サイトからであれ、違法サイトからであれ適法です。この記述は、無料だからといって違法サイトとは限らないことの説明にはなっていますが、違法サイトからのダウンロードが適法であることの説明にはなっていません。適法サイトであれ、違法サイトであれ、ダウンロードする者には関係なく、現状適法行為であるという点からは問題のある表現ということになります。
 著作権法上問題は、サイト開設者にあります。無料配信であれ、有料配信であれ、許諾を得ない配信(公衆送信)は違法となります。有料サイトであっても、許諾を得なければ違法ということになります。この点への誤解も生みやすい表現ではないかとも思います。

 また、タイトルの「あなたの着うた(R)は違法ですか?」も違和感があります。「着うた(R)」は登録商標であり、正式な「着うた(R)」サービスであれば、権利処理もなされているといっていいように思います。だからこそ、この記事も「本当にアーティストを応援しているのならば、ちゃんと着うた(R)なり着うたフル(R)なりを購入しよう」としているのではないでしょうか。しかし、このタイトルの意味は、「着うた(R)」=音楽配信サイトの意味で使われています。ある種一般名詞化されて使われている部分もあると思いますが、それならタイトルでの(R)は不要でしょう。

 著作権、商標権を含む知的財産概念はわかりづらいものですし、正確な知識をこのような記事で提供するのは不可能でしょう。しかし、わかりづらいからこそ、せめて誤解をうむ表現は慎むべきように思います。ここでいうと、無料・有料は配信サイトの違法性とは必ずしもリンクしません。過度にそのことを強調することは避けるべきように思います。
 正しい法理解という視点からになりましたが、法教育的観点からも、正確な情報配信を望みたいものです。
 
(T)
posted by 著作権教育フォーラム at 02:07| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム